沈む朝日(ダイジェスト版)

<CASE 2>9条でノーベル平和賞騒ぎを自作自演

朝日新聞デジタルの記事

「憲法9条で日本国民がノーベル平和賞を受賞するかもしれない」と、2014年10月、安倍政権まで巻き込んで大騒ぎになった。その発端は、〈ノーベル平和賞予測、「憲法9条保持する日本国民」浮上〉という朝日新聞デジタルの記事だった。

オスロ国際平和研究所(PRIO)が、平和賞の受賞予測として、それまで欄外だった「憲法9条を保持する日本国民」をいきなり候補トップにしたというものだ。

だが、ウェブサイトを調べると「所長もPRIOもノルウェー・ノーベル研究所およびノーベル委員会とはなんの公式な関係もありません」とし、予測は所長個人によるものであることが明記されていた。

平和賞発表1週間前に、トップをはずし、そこへ「憲法9条を保持する日本国民」をはめ込んだのは、誰かの強力なロビー活動(説得工作)があったからと考えるのが自然だ。そういうことをするのは日本の護憲派活動家しか考えられない。日本国内では、この記事以後、話が雪だるま式に膨らんでいった。

 

ノミネートが容易な平和賞

平和賞は、世界の大学教授や専門家、過去のノーベル賞受賞者などの推薦があれば誰でも簡単にノミネートできる。2014年のノーベル平和賞候補には278件がノミネートされ、それ自体に大きな意味はない。

世界の少なくとも159か国の憲法に平和条項とみなすことのできる規定がある。護憲派のロビイストも、よほどの国際オンチでないかぎり、「憲法9条を保持する日本国民」が平和賞を受賞できる可能性はないと知っていたはずだ。だから、PRIO所長に交渉し、せめて受賞者予測のトップにしてもらったのだろう。日本国内向けプロパガンダのためだ。

 

既存メディアの劣化

そして、護憲派メディアによって、日本人全体が受賞対象になっているかのような報道が行われた。日本の各メディア内には護憲運動にクールな記者がいる一方で護憲に熱心な一大勢力があり、その勢力が政治的意図をもって話をふくらませた。「九条の会」をはじめ一般の護憲派勢力が、それに便乗した。

メディアとして冷静に、PRIOとはなにか、予測に信頼性はあるか、ノミネートはどのようにおこなわれるかなどを調べた上で報道すれば、あのような空騒ぎになるはずはなかった。ここでも、既存メディアの劣化が露呈した。

 

護憲派の自作自演

9条と平和賞を結びつけようとしたのは空騒ぎだった。PRIO所長に働きかけた人物と騒ぎの発端を作った朝日新聞デジタルの編集セクションは、示し合わせていた可能性がある。そうではないとしても、どちらもおなじ護憲派であり、大きくみれば護憲派のあうんの呼吸による自作自演だった。

「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会は、3年連続で運動をつづけたが、とうぜん受賞はしなかった。

9条1項に戦争放棄の規定はあるものの、自衛戦争を容認するのか、2項にある戦力の不保持を(日本は自衛隊を持ちながら)他国に求めるのか――などを曖昧にしたまま、非論理的な護憲運動を世界に向けて展開しようとして挫折したのが、このノーベル平和賞騒ぎだったと言えよう。その中心には朝日新聞がいた。