沈む朝日(ダイジェスト版)

<CASE 1>9条論議の盲点を突き世論調査データを水増し

プロパガンダ機関

世論調査は、世間に存在する声を拾って分析するものであり、存在しないものを前提とすれば、統計学に基づく調査とは到底言えず、そのデータの報道は単なるプロパガンダにすぎない、朝日新聞は、憲法9条をめぐり、2018年5月までの少なくとも6年にわたり、そうした偽りの世論調査をつづけてきた。朝日の本質は、やはり報道機関ではなくプロパガンダ機関と言える。

 

「9条改正反対68%」

2016年の憲法記念日、朝日新聞は1面トップで、「9条 改正反対68%」という世論調査結果を伝えた。毎日新聞では、「憲法9条を改正すべきだと思わない」とする人が52%だった。なぜ、これほどの大差が生じたのだろうかと疑問に思い、その原因を詳しく探った。

朝日は、郵送した質問書に、説明として9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力の不保持、交戦権の否認)の全文を掲げたうえで質問している。

9条を議論する際に留意すべき重要なことがある。「平和主義の中核である戦争放棄を定めた〈9条1項の理念〉を改変しようとする勢力は、事実上、わが国には存在しない」という現実だ。その理念とは、「自衛の場合をのぞき、国際紛争を解決するための戦争を放棄すること」と定義できる。

しかし、朝日をはじめとする護憲派は、あたかも改憲派が9条全体を「改悪」し平和主義からの決別をねらっているかのような主張をしてきた。言わば憲法論議の盲点を突いたプロパガンダだ。1項の条文をも掲げて問えば、「9条改正の動きは平和主義からの逸脱だ」と回答者が誤解しやすい。改正に反対する声が多めに出るのはとうぜんだ。

朝日の世論調査センターでは、全体が参加する「質問部会」で膨大な時間をかけて質問文を吟味するという。つまり、朝日は「〈9条1項の理念〉を改変しようとする勢力は、事実上、わが国には存在しない」という現実も承知のうえで設問を作ったとみられる。結果として、と言うより意図的に、「9条改正に反対」の数字が大幅に水増しされることになってしまう。

 

バンドワゴン効果

世論調査の担当者のあいだでよく知られている言葉に「バンドワゴン効果」がある。「勝ち馬に乗る」ことだ。朝日が、1面トップで「9条 改正反対68%」という見出しを打ったとき、それを見た読者のなかには「ああ、これだけ多くの人が反対しているのだな」との印象を持ち、自分もその流れに乗ろうとするケースがたくさんあっただろう。バンドワゴン効果が他メディアに影響を与えた可能性も高い。さらに、「9条改正反対○%」という高い数字は、政界の憲法論議にも大きな影響を与えた跡がうかがえる。

毎日や共同通信のデータでは、漠然と9条改正に反対している国民は50%前後にとどまり、朝日の数字は、やはり大きく水増しされたものと言える。心理操作のためのプロパガンダだ。

 

戦略の甘い改憲派

しかし、改憲派は戦略が甘く、「事実上、9条のうち2項だけを改正する」ということをほとんど強調しない。「9条の1項は決して改正しない」という統一スローガンでキャンペーンを張れば、憲法を取り巻く言語空間は大きく変わるのではないだろうか。憲法改正手続きでもっとも重要な国民投票への展望も開けてくる。

なお、朝日新聞が2017、2018年の憲法記念日に合わせて発表した世論調査では、9条を「変えないほうがよい」はいずれも63%だった。毎日新聞の2017年データは46%で、朝日との差は17ポイントもあった。2018年は設問を変えたので朝日との比較はできない。