古代出雲王国考: ヲロチ退治の呪術

【あとがき】の先読み

この作品を書くにあたり、調査報道(Investigative Journalism)でスクープをするときの手法を応用しました。自分の着想や資料・史料からのヒントによる仮説を立て、それについて取材を重ね、さらに裏づけ取材を徹底しました。それぞれの道の専門家の文献を渉猟しょうりょうしながらも、鵜呑みにはせず、吟味したうえで参考にしました。

そしてもうひとつ、ひそかに出雲中高年探偵団を結成していました。メンバーには、本文中にくり返し登場してもらいました。

山根良夫さんは、出雲内外の神社を縦横無尽に訪れて[飛車]の突破力をみせ、[龍王]となりました。錦田つよさんは、周りと対角線に目を配る[かくぎょう]のように頼りがいがあり、[りゅう]となりました。

妻のK余(SNSネーム)は[歩兵ふひょう]のような存在ながら、ときに意表を突くアシストをしてくれ、[と金]となりました。出版元をさがすなか、河出書房新社の西口徹さんとつながったのも、K余の思わぬひと言がきっかけでした。まさに、ラッキーガールであり勝利の女神です。

さらに、福岡県福岡市在住の岡本まさたかさんは、出雲を原郷とする人びとの足跡そくせきを追う素晴らしい研究で、本書を支えてくれました。面識はないものの、勝手にリモート探偵団員としていました。彼も高校の後輩だとのちに知りました。

偶然か必然か、島根県立出雲高校のOBが四人そろったことになります。

一般に、本を書くのはとても孤独な作業です。今回は、探偵団員という同志たちがいたので、楽しく取材して執筆できました。

たくさんのひとに取材させていただきました。親切にも、後日、追加の情報を伝えてくださったかたたちもありました。各地の図書館や博物館などにも、大変お世話になりました。

作家の高橋克彦先生には、推薦の言葉を本書の帯に寄せていただきました。編集部に、「凄い本だった」というひと言が添えられて、推薦文の原稿が届いたそうです。身に余る光栄です。

山下壮一さんは、夕陽が沈む稲佐の浜と弁天島の一葉で、表紙を飾ってくださいました。浜へ幾度も足を運び、撮影条件のきびしいなかシャッターを切りつづけたそうです。

この本の核心部分は、地元・出雲の人たちもまったくと言っていいほど知らないことだと思います。探偵団にとってはわくわくする挑戦の日々で、その取材プロセスをできるだけ描くようにしました。

直接、間接にご支援ご協力いただいたかたたちに、心から感謝します。

   令和五年一月吉日

於 八雲立つ出雲 木佐芳男