WiLL寄稿のあとさき
メディアの活造り | 2018年9月27日
月刊誌のWiLL11月号に、RAB☆Kブログの記事が掲載された。テニス大坂なおみちゃんをめぐり朝日新聞が誤報をした、というちょっとしたスクープだ(Facebook版はブログからの転載)。
なおみちゃんが全米オープンで優勝した。ぼくは、その試合をテレビ観戦していなかった。というより、山陰では中継していなかったようだ。翌9月10日夜、テレビ朝日で緊急特番を放送した。なおみちゃんは、松岡修造さんのインタヴューに表彰式でのひと言について英語でこう答えていた。
「会場のみんながセリーナの勝利を期待していたし、(勝って)申し訳ない気持ちだった」。申し訳ない気持ちを“apologetic feeling”と表現していた。apology(謝罪)の派生語だ。ああ、日本人らしい言葉を口にしたんだな、と思った。インド人やドイツ人などだったら、自分に非がなければ謝ることは決してない。そこで、「大坂なおみちゃんのひと言」というブログを書いた。http://rab-k.jp/blogs/20180912070925/
翌日、朝日新聞の『キュー』というコラムを読むとこう書かれていた。〈日本で紹介された大坂選手の優勝インタビューが「勝ってごめんなさい」と訳されているのは明らかに誤訳で、彼女は「このような終わり方になったのは残念です」と言ったのだ〉
このコラムこそまちがっていると思い、検索エンジンで英語の発言をもう一度確認し、「続・大坂なおみちゃんのひと言」を書いた。http://rab-k.jp/blogs/20180913070951/
その日、WiLL編集部に「ブログでこんなのを書きましたが、貴誌で掲載してもらえませんか」とメールを送った。約20分後に電話がかかってきた。「なおみちゃんの言葉についての斬新な見方だし、誤報の件も面白いから、ブログ2本をひとつにまとめて送ってください」
念のためもう一度、アメリカのメディア報道をチェックした上で、原稿を送った。その後、編集部から「こっちの朝日にはそのコラムは載ってないんですけど」と電話がきた。ぼくはすぐに朝日の記事データベースを検索し、問題のコラムは大坂本社版だとわかり、編集部に連絡した。
ところが、これまでのように誌面のゲラが送られてこなかったので、東京ではなく大阪本社版の話だからボツになったんだろうと思った。
しかし、9月26日朝、読売新聞を開くと、いつものようにWiLLの広告が下5段ぶち抜きで出ている。そこにぼくの名前があってびっくりした。
原稿では「申し訳ない」を“apologetic”という言葉を使っていると書いたが、記事では“apologize”と動詞に変わっている。「大阪本社版」という説明もない。「まちがいではないが、正確でもないな。ゲラが送られていたら修正したのに」とは思った。寄稿にはそういうあとさきがあった。
(27日の午後、このブログを読んだ編集部から電話があり、「校了時のバタバタでゲラを送るのを忘れていた」と日本人らしく率直にapologizeしてきた=笑=。「次号で訂正を出しましょうか」とも言っていたが、「まちがいとは言えないので必要ないでしょう。読者から『そんな記事は見当たらない』と問い合わせがあったら、大阪本社版の記事です。筆者は西日本在住ですからと説明を」と答えておいた)