RAB☆Kブログ

心に刺さる映画


東日本大震災から9年になる。映画『Fukushima 50』を封切りの日に観た。福島第一原発で、放射能による東日本の破局を避けるために闘った約50人の作業員たちの物語だ。門田隆将さんのノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』を実写映画化した。
 
巨大津波による浸水で全電源を喪失し、このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融(メルトダウン)する。佐藤浩市さん演じる原発 1・2号機当直長の伊崎利夫ら現場の彼らは、死闘を演じ、ついには死を覚悟する。家族に電話やメールで“最後のメッセージ”を伝える。
 
不覚にも涙が止まらなかった。映画を観て泣いたのはいつ以来だったろう。
 
激震や津波のシーンはあまりにリアルで、観ていて辛いものがあった。あの日、ぼくの住む東京近郊は震度5強だった。揺れは6分以上もつづき、もうだめかと思った。本棚がバタバタと倒れ、食器棚も大きく揺さぶられ、ドイツで買った高価なワイングラスなどが目の前で壊れていった。それでも、被災者に比べれば何でもなかった。
 
大震災から2年半経ったとき、取材で岩手県へ行った。盛岡駅でレンタカーに乗り三陸海岸へ向かった。峠を越えてしばらく進むと、「津波到達点」という表示があった。まだ海もみえない地点だが、こんなところまで押し寄せたのか、と心臓がドキドキした。
 
浜辺で地元の人が「ここら辺りには旅館や民宿がたくさんあったんですがね」と教えてくれた。その跡形は何もない。ただ、重機が巨大堤防を作るため、のそのそ動いていた。宮城県では、根こそぎ津波にさらわれたある神社の女性宮司さんに話を聞いた。「形のあるものは、いつかなくなるんです」と達観していた。
 
映画を観ながら、東北でのことを思い出した。
 
震災当時、未曾有の原発事故を伝える海外メディアが、“Fukushima 50”と名付けて彼らの英雄的行動を称えた。韓国でそれから3年後、大型旅客船セウォル号が転覆・沈没した際、船長らは真っ先に逃げた。
 
ぼくたちには、ときに命を捨ててでも守らなければならないものがある。これまでの人生で、人が自己保身に走るのをいやというほどみてきた。とくに自称インテリに多かった。それだけに、この映画は心に刺さった。
 
新型コロナウイルス禍が落ち着いたら、校外学習として子どもたちに見せて欲しい作品だ。

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