RAB☆Kブログ

イスタンブール地下宮殿 緊迫の10分


読売新聞日曜版「よみほっと」に、埼玉県春日部市の地下50メートルにある地下宮殿の写真が載っていた。「龍Q館」、正式には「首都圏外郭放水路」というそうだ。河川があふれそうになったとき、この巨大空間に水を取り込み水害をふせぐ。貯水・排水能力は世界最大級という。
内部は一般に有料公開されており、外国人の見学者も多いそうだ。写真をみて、トルコのイスタンブールにある東ローマ帝国の大貯水槽「バシリカ・シスタン 」を思い出した。
家族と入ろうとしたら、トルコ人男性が英語で話しかけてきた。「日本から来ましたか?」「いや、ぼくたちは日本人だけど、いまはドイツに住んでる」「1ドルまたは1マルクで案内してあげますよ。ガイドがいたほうがいいでしょ」「安いね。じゃあ、1マルクで」
マルクがユーロに変わる直前の話だ。男性は丁寧に内部の説明をしながら案内してくれた。見学が終わると、「ぼくはカーペット屋をやっているんで、ちょっとだけみていってくれませんか?」
感じのいい人だったので、みんなでついていった。店は地下にあり窓もなかった。入店すると、店員が入り口のドアに鍵をかけた。これ、やばいな。ガイドをしてくれた男性はコーヒーをすすめてくれたが、はっきり断った。「ぼくたちはカーペットを買うつもりはない。すぐに帰らせてくれ!」
強い調子で抗議したが、男性は顔つきを変え、数十万円もするような商品を買うよう迫ってくる。男性はしつこく、店内にいた2、3人の店員もぼくたちを取り囲んで圧をかけてくる。妻子は、異様な状況を察し真っ青になっている。
 
ぼくは「ノー!」「ナイン!(ドイツ語のノー)」を毅然として繰り返した。その間、10分くらいだったろうか。このチンピラ野郎たちめ。効くかどうかはわからないが、“葵のご紋の印籠”を口にすることにした。
「ぼくは、日本を代表する新聞社の特派員をしている。トルコは親日国で大好きだが、こんな強引なことをされたら国家イメージを損ねるだけじゃない。ぼくたちに何かあったら外交問題に発展するぞ!」
チンピラたちはその言葉にひるんだ。ぼくは妻子をかばうように出口へ向かい、「オープン・ザ・ドア!」と大声を出した。店員のひとりがびびって、ドアを解錠した。
地上へ出て、ぼくたちは安堵のため息をついた。かつてインドで鍛えたケンカ英語とはったり技術が役に立った。
トルコはさすがの親日国で、カーペット屋騒動以外はとても親切な扱いを受けたし、決して嫌いになったりはしなかった。どこの国にも悪いやつはいる、と勉強になった。

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