RAB☆Kブログ

戒律に生きる人びと


ベルリンではグリューネヴァルト(緑の森、の意)という地区に住んでいた。部屋数が数十はありそうな大豪邸が建ち並び、ドイツ人憧れの超高級住宅街だとされる。ぼくの家族は、そのなかでも庶民的な4世帯に分かれたメゾネット式住宅でほそぼそと暮らしていた。

街中心部のブランデンブルク門まで、車でも電車でも16分くらい、という交通至便の地なのに、緑が豊かで、わが家のバルコニーにも野生のリスが遊びにきて、子どもたちが可愛がっていた。

しかし、とても暗い過去を持つ。ヒトラー時代、この地域のユダヤ人大富豪らは貨物列車に詰められてアウシュビッツへと運ばれ、多くはガス室で虐殺された。その記念日には駅頭で慰霊祭がおこなわれる。たまたま通りかかって取材したこともある。

ボンにいたときは、隣人がユダヤ人一家で、有名な「過越の祭」を覗いた。娘の幼稚園の親友は、イスラエルから来たユダヤ人美少女ダーナちゃんだった。

だから、ユダヤ教についてはある程度の知識と体験があるが、4月5日の読売新聞を読んで、奥は深いと思った。

イスラエルにはユダヤ教徒の「超正統派」と呼ばれる人たちが、

Jerusalem, Israel- March 4, 2007: Three Jewish children reading Holy Hebrew books in a quiet side of the famous Western Wall of Jerusalem.

人口の12%いる。避妊が許されずひとりの女性が生涯に平均6.9人も産む。約40年後には超正統派が40%に達するとの推計もあるそうだ。

ITを通じた外界との接触を遮断し、教義と向き合う。インターネットはおろかテレビもない家庭が多く、信仰の妨げになるとして大半の男性は職に就かず、国から約12万円の生活保護費をもらって暮らす。男女とも徴兵制があるが、超正統派の信者は兵役に就かない。そのため、戒律に柔軟な「世俗派」からは反発が高まっているという。

日常の戒律は、日本などからみれば理解しがたいものも少なくない。ぼくが知っている戒律のきびしいイスラム教国より、さらに徹底していそうだ。

・乳製品と肉をいっしょに食べてはいけない。だから、カフェラテとハンバーガーをいっしょに食べるのは禁止だ。
・豚肉を食べないのはイスラム教徒もおなじだが、ユダヤ教徒超正統派は甲殻類、うろこのない魚も食べてはならない。つまり、カニやうな重など絶対に食べない。
・婚前交際は禁止で恋愛結婚はありえない。
・インターネットや映画、テレビを観てはいけない。
・安息日はいっさいの「労働」が禁止される。電気のスイッチを切ったり、トイレットペーパーを切る行為も「労働」なのでしてはいけない。

ぼくたちの住む地球には、こんな人たちもいる。自由すぎて生きる目的や死にがいがわからない国ニッポンでは、そんな戒律の厳しい国にあこがれる人もいるかもしれない。


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