RAB☆Kブログ

江崎博士は健在なり


量子力学の固体でのトンネル効果を初めて実証し、エサキダイオードを発見してノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈(えさきれおな)先生が、3月12日の読売新聞にコラムを寄稿されていた。ぼくが先生ご夫妻をベルリンで丸一日アテンドしたのは、じつに23年前だった。いま94歳になられたという。

お会いするより前の1994年夏、先生は「ノーベル賞を取るために、してはいけない5か条」を提案されていた。第5条にこうあった。〈いつまでも初々しい感性と飽くなき好奇心を失ってはいけない〉

その言葉通り、先生は好奇心丸出しで矢継ぎ早に質問された。でもぼくも1年前にベルリンへ赴任したばかりで、そうそうこの大都会を知っているわけではなく、冷や汗をかいた。奥様は骨董がご趣味のようで、骨董店を探してお連れした。じっくり店内を歩き「あれも、これもいいけど、荷物になるからがまんします」と店を去るのが名残惜しそうだった。

読売新聞は、ずっと前から「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」を主催している。その関係で、国際会議の折りにベルリンへ立ち寄られる江崎先生から、「誰か現地を案内してくれる人を」ということで、ぼくに白羽の矢が立った。

そのフォーラムには、「ノーベル賞を受賞してはいないが、偉い先生」も関わっていた。そのひとりがトンデモ学者で、自分の靴を記者に磨かせたり、何が気に入らないのか女性記者に灰皿を投げつけたりする、という話を聞いたことがあった。

だから、江崎ご夫妻を迎えるに当たって「トンデモ学者だったらどうしよう」と心配していた(笑)。もちろん、そんな人物とは真逆の気さくで優しい先生だった。ただ、研究のことについてちょっと話されたときには、厳しいものを感じた。

読売のコラムでは〈AIはどこまで人間に代わるようになるか。私は、人間の知性は分別力と創造力に二つに大きく分けられると考えている〉と書かれている。ぼくに刺さったのは、つづくくだりだった。

〈分別力とは知識を獲得し、その解析、理解、判断、選択をする能力である〉
〈創造力とは核心を捉えて問題の実態を見抜き、想像力と先見性をもとに新しいアイデアを生み出す能力である〉

ぼくはAIではないが(^_^)、4年かけて渾身の本を書いた際、江崎博士が二つに大別された人間の「力」を意識していた。コラムを読んで改めてそう思い、感慨深いものがある。

奥様もお元気で「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)などを観ておられるのだろうか。


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