RAB☆Kブログ

南海の島で思ったこと


フィリピンについて、一般の日本人はどんなイメージを持っているのだろうか。ぼくの初めての海外取材が、あの多島国だった。日テレ「24時間テレビ」の撮影クルーといっしょに行った。

首都マニラでの取材を終えて、オンボロ飛行機でネグロス島に飛んだ。その際、フィリピン人のガイドが「”faith cure”に興味がありますか?」とぼくに聞いてきた。日本で言う心霊治療のことらしかった。この島では、ごく普通におこなわれているという。

日本でも、一時期、テレビが面白半分に番組で取り上げ、結構、話題になった。メスを使わずに手術をして患部を切除したりするという不思議な話だ。しかし、あるとき、自称・心霊治療師が取り出したのは患部ではなく鶏のレバーだった瞬間が映像にとらえられ、すっかりインチキ説が広まって、話はおしまいになった。

でも、ある日本人の友人がぼくに真顔で「知り合いにフィリピンへ行って癌の患部を取り除いてもらい回復した人を知っている」と語った。そのお母さんも、やはり同じことを言っていた。

faithとは信仰や信念のことで、「心霊」とはかなりニュアンスがちがう。「島の人はそういう治療があることを心から信じているので、実際に治るんです」とガイドは言った。治療師のひとりという人物の自宅へ連れて行ってくれたが、「日本のメディアは信頼できない」と断られ、他に日程も詰まっていたので取材を断念した――。

この正月、『超心理学 封印された超常現象の科学』という本を読んで、ネグロス島のことを思い出した。この本は税抜き2,800円もするガチの科学的な著作で、明治大学情報コミュニケーション学部長が書いた。統計学や物理学からの話も多く、読破するのに10日かかった。

その一節にこうあった。「(透視や予知など)超心理現象の発現のためには、その周囲の人々の心理的な条件が整うことが大切だ。・・・人々が無意識に発現を願うような社会的な状況を整えると、そこにあたかも、向こうから現象が立ち現れてくるように見えるのだ。したがって、実験結果の成否には、被験者のみならず実験者も関与していることがわかる」

これを読んで、超ミクロの世界を扱う量子力学のことを連想した。物質の最小単位・素粒子の動きを観察しようとすると、観察者の「意思」が作用して、その位置や速度が確定できないことが良く知られている。不確定性原理と呼ばれるものだ。心と物質を二分できないらしい。

”faith cure”の場合も同様かも知れない。日本でしかもテレビカメラの前で治療をしようとしても、周囲が疑念を抱いていれば成功しない可能性は高い。鶏のレバー騒ぎは、はじめからインチキ治療師だったのか、本物だったが成功させなければというプレッシャーからインチキに手を染めたかはわからない。

ただ、ネグロス島のようなところにいると、そんな治療法もひょっとしてあるかも知れない、という気持ちになったのは否定できない。


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