RAB☆Kブログ

移民国家になる覚悟がいる


朝日新聞の天声人語などを、高名な精神科医の春日武彦先生は、「グロテスクになった」とぼくに語った。グロテスクという言葉は、心理学や精神医学でよく使われる。

たしかに、朝日には近年、グロテスクな記事が散見される。しかし、6月14日の天声人語は、珍しくまっとうなことを書いていた。

かつてドイツに、ガストアルバイター(客人労働者)としてトルコからやって来た人びとをめぐる話だ。高度成長期の1960~70年代、ドイツは多くの人をトルコから連れてきて、数年で帰国させるつもりだった。しかし、彼らは家族も呼び寄せて定住し、ドイツ市民として生きるケースがたくさん出てきた。

ドイツの都市でタクシーに乗ると、運転手さんの九割近くはトルコ人だ。

労働者がいるときだけ働いてもらって用が済めば帰国してもらう、という政策はドイツの身勝手な考えからだった。いまでは、在独トルコ人は200万人を超えている。タクシー運転手の免許を取るには、ある程度のドイツ語力と道路知識、マナーなどをマスターしなければならない、とある運転手さんに聞いたことがある。みんな、必死でドイツで生きていこうとしているのだ。

それでもドイツ政府は、長年、移民国家へと変わっていった事実を認めようとしなかった。やっと、2000年代に入り、自らを移民国家だと位置づけた。

問題は、日本の新政策だ。政府は介護や農業、建設などの分野に外国人を受け入れようとしている。最長5年の滞在を認めるというが、一度受け入れたら容易に帰国することはない。新政策は移民国家への第一歩となる可能性が高い。天声人語は、それを政府は認めていないことを指摘する。

天声人語は珍しく、もっともな指摘をしたと思う。よくよく外国の事例を研究してからでなければ、「短期労働者」の受け入れも国を揺るがす社会問題に発展しかねない。


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