RAB☆Kブログ

トイレの天国と地獄


 

 日本のトイレ事情が世界最高峰にあるのは、言うまでもない。中国人がシャワー付きトイレを爆買いする光景も、よくニュースで流れる。

 だが、その対極にある国も少なくない。

 ニューヨーク・タイムズは、かつてグローバル版の一面トップに、インド最大の都市ムンバイ(旧ボンベイ)の、厠の写真をでかでかと載せていた。厠はもともと「川屋」であり、川の流れの上にせり出した便所のことらしい。日本にも、昔はこういうトイレがあった。

 写真は、まさにどぶ川の上にある掘立小屋のトイレだ。アカデミー賞8部門などを取ったイギリス映画『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)に出てくる、ムンバイのスラム街の便所小屋そのものだ。

 インドの国勢調査によると、全国の世帯の半数以上にトイレがない(!)。いまでは世界屈指の新興国とされ、目覚ましい経済発展を遂げつつあるが、国の実情はそんなものだ。

 トイレの数が絶望的に足らず、特に女性は日々、大変な思いをして小用を足している。それ自体が「基本的市民権、人権」の侵害だとして、市民活動家らが“小用権キャンペーン”をはじめたのを受け、ニューヨーク・タイムズは大きな記事にした。

 都市部の貧困家庭にはトイレがなく、不潔でも公衆トイレを利用するしかない。男性は小用だけならたいてい無料でできるが、女性は必ず2ルピー、ときには5ルピーも取られる。市の雇ったトイレ係の言い分はこうだ。「女性は小用だけかどうか確認できない」

 1ルピーは現在の為替レートだと約2円にすぎないが、1日29ルピー以下が貧困ラインとされるインドの貧しい人びとにとっては、かなりの出費になる。「子どもが下痢でもしたら、いったいどうやって払えばいいか」。女性は水分を極端に控えるため、熱中症になることもよくある。

 ヒンドゥー教にも無数の神々がいるが、トイレの神さまというのは聞いたことがない。

 家にも街にも清潔なトイレがあり、いつでも行ける日本はどれだけ幸せなことか。トイレの神さまに感謝しよう。


コメントする


次のタグを使うことができます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>