RAB☆Kブログ

ちびちびやりながら、神楽を


「こわいよーーっ!」。会場の入り口で、小さな男の子が泣きじゃくっている。若いお父さんが、必死でなぐさめている。

出雲神楽と石見神楽が共演する珍しいイベントに行った。会場は、旧日御碕小学校体育館だ。晴なら野外のはずだったが、夜の空気はまだ冷たく、むしろ屋内でよかった。

出雲神楽を神社の神事以外で観るのは初めてだった。松江市鹿島町の佐太神社に伝わる御座替(ござかえ)神事を神楽にした茣蓙舞からはじまった。舞台で観るには地味だが、これを遡っていけば、いにしえの神事にたどり着けそうな伝統を感じさせる。

いま執筆中の古代出雲をテーマとする作品にも、隠し味として活かせそうだ。

一転、石見神楽は、いつもながら華麗にしてド迫力がある。この夜は、日御碕にまつわる「十罹刹女(じゅうらせつにょ)」と、石見の国の起源とされる「石神(いわがみ)」が演じられた。

先代・市川猿之助がおはことした、ケレン歌舞伎を思わせるものがある。

去年はコロナ禍で一度も公演できなかったそうだ。その分、踊り手には熱がこもっていた。腹に響く太鼓のリズムと切れのいい笛の音の懐かしさは、日本人のDNAに刻まれている。笛を吹くのが、二つの神楽社中とも女性だった。

若い家族連れが目立った。子どもたちも真剣に観ている。鬼の面はたしかに恐いが、こういう地元の伝統芸能にふれるのは、教育上もじつにいい。幼いころに生で観た劇などは一生忘れない。

美味しいお弁当とお茶がついて1500円は、東京などではありえない。出雲市観光協会の主催で営利ではないにしてもー。飲食物持ち込み自由だったから、ぼくは焼酎をちびちびやりながら、堪能した。


コメントする


次のタグを使うことができます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>