ブレーキを踏みながらアクセルをふかす
地球つれづれ草紙 | 2021年1月30日
コロナ禍のいま、ドイツでは美容院の営業も禁止されている。
屋根裏部屋でたがいに髪を切り合っていた3人の若者が、警察に踏み込まれ、ひとり150ユーロ(約1万9千円)の罰金を科せられた。私的に会える人数を超えているというのが、摘発の理由だった。
『アンネの日記』で知られるアンネ・フランクを連想する。あのユダヤ人少女は、ナチスにおびえ、屋根裏部屋に隠れていた。
30人が集まっていた子どもの誕生日パーティーも、警察に踏み込まれた。トイレやドアの陰に隠れたが、15人が摘発された。
わが国の自民党は、感染症法改正案で違反者に刑事罰を盛り込んでいたものの、野党の反対を受け撤回した。
ドイツと日本の差は、理由がふたつある。
ひとつは、非常事態を規定する憲法条項の有無だ。有事には強権を行使するほうが世界の常識ではある。
もうひとつは、メディアによる政府批判の有無だ。
コロナ禍の犠牲者数を抑えよ。飲食店・宿泊業が経営の危機だ。どうにかしろ。日本のとくに左派メディアは、ブレーキを踏みながらアクセルをふかす。かくて、政権自動車は迷走する。