=夜の街 大手町=
出雲フォト日記Ⅱ | 2020年8月2日
〈日本のオフィス街の顔とも言える東京・大手町、丸の内、有楽町一帯には28万人が働いているそうだ〉
先月30日の山陰中央新報「明窓」に、こんな書き出しのコラムが載っていた。〈エリートサラリーマンが闊歩する街のイメージが強いが、・・・〉
ぼくも大手町の会社に勤めていた。でも、個人的なイメージは全然ちがう。
深夜、ビルの谷間の車道にデンと屋台が立つ。
大手町には、読売のほか産経、日経の本社があった。朝刊の締め切りは午前1時半だ。それを過ぎると、「坊や」と呼ばれるバイト学生に屋台で酒類とつまみを買って来てもらい、反省会と称して飲み会となる。やがて、夜勤の記者は社が手配するハイヤーで帰宅する。
国際部の不寝番は、ひとり残って外電のチェックなどを朝までおこなう。海外で大ニュースが突発すれば、上司や同僚記者らに召集をかけ、果てしない修羅場の時間がつづく。
世界が平穏なとき、午前3時、4時ともなれば、お腹もすく。そこで社を抜け出し屋台へ行く。焼き鳥や厚揚げ焼きをつまみに、カップ酒をぐびぐびやりながら、まだ粘っているサラリーマンがいたりする。
そんな諸兄にまじって、酔っ払わない程度に燃料を注入し、またオフィスにもどっていく。
大手町はそんな街だった。いまじゃ、各本社も高層ビルに建て替えられ、コンビニも入っている。
車道の屋台は、昭和の思い出のなかにある。